「車を駐車していたら、戻ってきたときに傷が……。」当て逃げに気づいたら、どうしたらいいのでしょうか。
かつては加害者を特定する手段が少なく、泣き寝入りするケースも多くありました。
しかし、近年はドライブレコーダーや防犯カメラの普及により、犯人を特定できる可能性が高まっています。
とはいえ、「どうすれば加害者を見つけられるのか?」「もし犯人が見つかったら、どんな責任を問えるの?」といった疑問や不安を抱える方も多いでしょう。
この記事では、駐車場で当て逃げされた際に取るべき対応や、加害者が追うことになる責任について解説します。
当て逃げした犯人に発生する責任

まずは、当て逃げした人に問える責任について確認していきましょう。
民事責任(損害賠償)
加害者は、被害者の損害を補償する義務があります。具体的には、以下のような費用を請求できます。
- 車の修理費用:へこみや傷の修理代
- 買い替え費用:損傷がひどく修理が難しい場合
- 休車損害:タクシーや営業車の場合、使用できない期間の営業損害
- 積荷損害:車内の荷物が壊れた場合の賠償
- 治療費:車内に人がいてケガをした場合の医療費
刑事責任(懲役、罰金)
警察に事故を報告せずに逃げた場合は報告義務違反にあたり、3ヵ月以下の懲役または5万円以下の罰金が科せられます。
さらに、適切な対応を取らなかったため危険防止等措置義務も違反したことになり、1年以下の懲役または10万円以下の罰金が科せられます。
行政責任(違反点数)
当て逃げをすると、以下の違反点数が加算されます。
- 安全運転義務違反:2点
- 危険防止等措置義務違反:5点
合計7点ですので免許停止になります。前歴がある場合は免許の取り消しもあり得ます。
当て逃げの時効
当て逃げの刑事責任には3年間の公訴時効があります。つまり、事故が発生した日から3年を過ぎると刑事裁判で罪に問うことができなくなるため、加害者が見つかっても法的に処罰することはできません。
一方、民事責任の時効は加害者を知った日から3年間または事故発生から20年間です。たとえば事故から5年後に加害者が特定された場合、その時点から3年以内であれば損害賠償請求が可能です。
時効を過ぎないためにも、犯人をスムーズに見つけるためにも、早めに動くことをおすすめします。
駐車場で当て逃げされたらどうする?
駐車場で当て逃げに遭ってしまった場合、早めの対応が加害者特定のカギになります。ここでは、当て逃げされたときに取るべき具体的な行動を解説します。
ドラレコの記録を保存する

まずは、ドライブレコーダーの映像を確認しましょう。最近のドラレコは駐車中も録画できるものが多く、加害車両が映っている可能性があります。
ただし、メモリカードの容量によっては古いデータが上書きされてしまうことがあります。当て逃げに気づいたら、すぐに映像を確認し、バックアップを取りましょう。
ナンバープレートがはっきり映っていれば特定が早くなりますが、一部の数字や文字、車の色・車種だけでも重要な手がかりになります。
警察へ通報する
当て逃げに気づいたら、必ず警察へ通報してください。警察に届け出ることで防犯カメラの映像確認など捜査が進むため、犯人特定につながります。
なお、警察へ通報しないと「交通事故証明書」が発行されず、保険金の請求ができなくなる可能性もあるので注意してください。
保険会社に連絡する
当て逃げの加害者が特定できない場合、修理費用は自己負担になります。しかし、契約内容によっては車両保険で補償される場合があるため、必ず確認しましょう。
また、保険会社は事故対応のプロです。どう対応すればよいかアドバイスをもらえることも多いため、早めに相談しておくと安心です。
弁護士に相談する
もし加害者が特定できた場合でも、示談交渉がスムーズに進まないケースがあります。修理費や慰謝料の支払いを拒否されることもあるため、弁護士に相談したほうが精神的にも時間的にも楽です。
弁護士費用はかかりますが、「弁護士特約」が付いている保険に加入していれば、無料または低額で利用できます。
駐車場の管理者に連絡する

駐車場に防犯カメラ・監視カメラが設置されている場合、管理者に映像を確保してもらいましょう。過去の映像は一定期間で削除されるため、早めに連絡するのがベターです。
ただし、カメラの映像はプライバシーの問題もあり、被害者本人に直接見せてくれないケースが多いです。そのため、警察経由で映像を確認してもらうことになるかと思います。
まとめ
当て逃げは、刑事・民事・行政の3つの責任を問われる重大な違反行為です。まずはドラレコのバックアップを取り、警察や保険会社、管理者などに連絡してください。
早めに動けば、加害者を特定できる可能性が高まり、損害賠償請求もスムーズに進められます。「犯人が見つからないかも…」と諦めずに、ぜひこの記事を参考にしてみてください。
また、東海DCでは、ドライブレコーダーや防犯・監視カメラの映像を分析し、事故状況を明確にするサービスを提供していますので、映像を証拠化されたい場合には、弁護士を通じてご相談ください。