交通事故に遭ってしまったら、「弁護士に相談したほうがいいのかな?」と迷うこともあるでしょう。弁護士費用が高額になるのではと不安に思い、ためらってしまう方も少なくありません。
しかし、自動車保険に「弁護士費用特約」が付いていれば、ほぼ無料で専門家のサポートを受けられます。
この記事では、弁護士費用特約でカバーされる費用の種類や、どんなケースで利用すべきかを分かりやすく解説します。
弁護士費用特約の対象となる費用

弁護士費用特約を利用すれば、交通事故に関する示談交渉や裁判の弁護士費用を保険でまかなうことができます。
一般的に、補償される金額の上限は弁護士費用なら最大300万円、法律相談費用なら最大10万円となっており、多くのケースで自己負担が発生しません。
特約の対象となる具体的な費用は以下の通りです。
- 相談料
- 着手金
- 成功報酬
- 訴訟・和解・仲裁・調停費用
- 日当
- 実費
弁護士費用特約を利用したい交通事故
ここからは、弁護士費用特約をぜひ活用したいケースを紹介します。
事故による被害が小さい場合

交通事故ですり傷や軽い打撲などの軽傷を負った場合、治療期間が短く済むことが多いです。例えば、治療期間が2週間程度なら慰謝料の相場は約9万円、1か月程度なら約19万円とされています。
そのため、「弁護士に頼むと赤字になりそう…」と悩む方も多いでしょう。
しかし、弁護士費用特約を使えば、費用倒れの心配をせずに示談交渉を任せられるうえ、弁護士が適切な賠償金の算定を行うことで賠償金の増額も期待できます。
もらい事故に遭った場合
通常、事故の示談交渉は加入している保険会社が代行してくれます。
しかし、自分に一切の過失がない「もらい事故」に遭ったとき、被害者側の保険会社が示談交渉を代行できません。
加害者側の保険会社は示談のプロ。被害者本人に法律や交渉の知識がないと、不利な条件で示談が成立してしまう可能性が高くなります。そんなときこそ弁護士費用特約を活用し、専門家に交渉を任せましょう。
過失割合や賠償金額に不満がある
加害者側の保険会社が提示する「過失割合」や「賠償金額」に納得できないことがあります。「自分の過失はもっと少ないはず」「賠償金が思ったよりも低い」そんな不満を感じたとき、どうすればよいのでしょうか?
こうした場合もひとりで何とかしようとせず、弁護士費用特約を使って弁護士に依頼するのが有効です。
弁護士なら、事故の状況を詳しく調査し、適正な過失割合を主張できます。また、裁判になった場合に認められる「弁護士基準」で賠償金を算出し、加害者側と交渉することが可能です。
加害者が任意保険に加入していない
加害者が保険に入っていない場合、適正な賠償金額や手続きの知識がないことが多いため、交渉が難航しやすくなります。
さらに、話し合いの末に賠償金額が決まったとしても、加害者が支払いに応じるとは限りません。「お金がない」「支払いたくない」と言われてしまえば、被害者は泣き寝入りすることになりかねません。
そこで、弁護士費用特約を利用して弁護士に示談交渉を依頼しましょう。弁護士なら支払いに応じない場合でも裁判を視野に入れた対応が可能になるため、賠償金を回収できる可能性が高まります。
弁護士費用特約が利用できないケース

弁護士費用特約は便利な制度ですが、すべての事故で必ず使えるわけではありません。保険会社ごとに適用条件が異なり、特約が適用されないケースもあるため注意が必要です。
ここでは、弁護士費用特約が利用できない代表例を紹介します。
被保険者の過失が重大
もし、被保険者自身に重大な過失がある場合、弁護士費用特約は利用できない可能性が高いです。具体的には、無免許運転や飲酒運転、麻薬や覚せい剤を使用した状態での運転が当てはまります。
自身の危険運転が原因で起こした事故には適用されないことを理解しておきましょう。
自然災害による事故
地震・台風・洪水・津波などの自然災害による事故は弁護士費用特約の対象外となります。
例えば、台風で飛ばされた看板が車に当たったり、大雨で道路が冠水し車が動かなくなったりした場合などは対応できません。
事故後に加入した場合
弁護士費用特約は、事故発生前に契約していなければ利用できません。つまり、事故に遭った後で慌てて特約に加入しても、その事故には適用されないという点に注意が必要です。
ただし、自分の保険では特約に入っていなくても、家族の自動車保険に弁護士費用特約がついている場合、適用されることがあります。まずは契約内容を確認してみましょう。
まとめ
交通事故に遭ったとき、「弁護士に相談したいけれど、費用が高そう…」と不安に思う方も多いでしょう。ですが、弁護士費用特約を活用すれば相談料や成功報酬などを保険でカバーできるため、ほとんどの場合、自己負担はありません。また、交渉や裁判で必要な調査・鑑定費用については、弁護士費用特約でカバーできることもあります。
弁護士が交渉を担当することで、示談交渉を有利に進められ、適正な賠償金を受け取る可能性が高まります。特に、「もらい事故」「過失割合に不満がある」などのケースでは、弁護士への相談をおすすめします。
まずは、ご自身の自動車保険に弁護士費用特約が付いているかを確認してみてください。