路面が凍る季節になると、スリップによる交通事故が増える傾向にあります。気になるのは、事故の責任(過失割合)ですよね。
しかし、雪道ではブレーキ跡が残りにくく、当事者同士の話し合いがこじれてしまうケースも少なくありません。
この記事では、スリップ事故の過失割合に焦点を当て、基本的な考え方や判断に影響を与えるポイントをわかりやすく解説します。冷静に対処するために、ぜひお読みください。
スリップで交通事故が起きた場合の過失割合
スリップ事故では、誰がどの程度の責任を負うべきか、いわゆる「過失割合」が大きな焦点となります。以下では、ケースごとに過失割合の考え方を解説します。
スリップした車に衝突されたケース
停車中や走行中に後続車がスリップして追突してきた場合、基本的な過失割合は「追突車:被追突車=10:0」となります。基本的に追突した車両に全責任があるとされ、追突された側には過失が認められません。
しかし、前方車が急停止したために後続車が急ブレーキをかけ、その結果スリップが発生したといった場合は、前方車にも一部の過失が認められる可能性があります。
スリップした車を避けたら追突されたケース
スリップした車を避けようと進路変更した結果、後続車に追突された場合、過失割合はどうなるのでしょうか。原則として、追突した車両に10割の過失が認められます。
しかし、追突された車両が急停止や異常な動きをしていた場合には10対0とならないことに注意してください。
バイクがスリップし、車に衝突してきたケース
バイクや自転車がスリップしてコントロールを失い、車に衝突した場合も、基本的にはスリップした側の過失割合が大きくなります。
ただし、スリップの原因が道路の管理不足、または他車両の動きに起因している場合、過失割合の判断に影響を与えます。
スリップ事故の過失割合が決まるポイント
スリップ事故における過失割合は、事故の状況に応じてさまざまな要素を基に判断されます。ここでは、特に影響を与えるポイントについて解説します。
スリップの原因は急ブレーキか
雪道や凍結路面では、急ブレーキや急ハンドルといった操作がスリップを引き起こしやすくなります。
例えば急ブレーキが原因でスリップし、後続車を巻き込む形で事故が発生した場合、ブレーキをかけた側に過失が認められる可能性が高いです。
テールランプを点灯させていたか
夜間や視界の悪い状況では、テールランプやヘッドライトの点灯が義務付けられています。
無灯火の状態で道路に停車していると、後続車が発見しにくくなり、急ブレーキやスリップ事故を引き起こす原因となるためです。
このような場合、追突された側にも10〜20%程度の過失が認められることがあるため注意が必要です。
タイヤチェーンを装着していたか
雪道や凍結路面を走行する際には、タイヤチェーンやスタッドレスタイヤの装着が推奨されています。
適切な対策をしていなかった場合、「危険を予見できたのに対策を怠った」と判断され、過失割合が高くなるのです。
特に、ノーマルタイヤで雪道を走行してスリップ事故を起こした場合は、過失が非常に重くなってしまうでしょう。
走行速度に問題なかったか
凍結路面や雪道では、制限速度以下での走行が求められます。速度が速すぎると、車間距離を十分に取っていてもブレーキが間に合わず、スリップを引き起こしてしまうためです。
特に、30km/h以上の速度超過が確認された場合、事故を引き起こした車両に大きな過失が認められる傾向があります。
スリップ事故の過失割合にはドライブレコーダーが有効
雪道でのスリップ事故では、過失割合を決めるのが難しいケースが多いです。理由として、事故現場の証拠が時間の経過とともに消えてしまいやすいことが挙げられます。
例えば、ブレーキ痕は過失割合を判断する上で重要な証拠の一つですが、雪が積もった道路では痕跡が残りにくく、さらに降雪が続くと完全に消えてしまいます。当事者の主張が食い違えば、過失割合の確定に時間がかかるでしょう。
こうした状況で頼りになるのが、ドライブレコーダーです。ドラレコは、事故当時の路面状況、自車両や相手車両の速度、位置関係などを映像として記録します。
「適切な速度で走行していたか」や「スリップがどのように発生したか」といった状況を客観的に証明できるため、過失割合を正しく計算する上で大きな助けとなります。
まとめ
スリップ事故では、基本的に衝突した側の責任が大きいとされています。しかし雪道ではブレーキ痕などが残りにくいため、過失割合を巡る示談交渉が難航するケースも珍しくありません。
こうしたトラブルに備えるためにも、ドライブレコーダーの設置を検討することをおすすめします。
東海DCのドラレコ解析サービスは、専門の技術で事故状況を正確に解析し、過失割合が適切に判断されるようサポートいたします。