突然の追突事故、戸惑いながらも、まず気になるのが過失割合ではないでしょうか。
「自分は悪くないはずなのに、相手の保険会社から思ってもみなかった割合を提示された…」そんな経験をする人は意外と多いものです。
そこで今回は、追突事故における過失割合の考え方や、もし納得いかない場合に取るべき対応をわかりやすく解説していきます。
追突事故の過失割合

追突事故とは、後ろの車が前の車にぶつかってしまう事故のことです。
基本的には「追突した側が全面的に悪い」とされ、過失割合は「100:0」が原則です。しかし、状況によっては前方車にも過失が問われる可能性があります。
ここからは、具体的なケースを見ながら、どういった場合に過失割合が変わるのかを説明していきます。
後ろから追突された場合
信号待ちや渋滞で止まっていたら、後ろからドンッ…そんな追突事故では、基本的には「追突した側が100%悪い」とされます。
なぜなら、道路交通法では「前の車が急に止まっても、追突しないだけの車間距離を取ること」が後続車に義務づけられているからです。
一方、前の車は後ろの動きまで確認するのは難しく、回避する手段がありません。そのため、多くのケースで「100(追突した側):0(追突された側)」という過失割合が適用されるのです。
急ブレーキをかけた場合
道路交通法では、特別な理由がない限り、急ブレーキや急な減速は禁止されています。
もし前の車が突然ブレーキを踏み、その結果として後ろの車が追突してしまった場合は「100:0」とはならず、追突された側にも30%ほどの過失が認められることがあります。
ただし、たとえば「子どもが飛び出してきた」「急に前の車が割り込んできた」など、急ブレーキに正当な理由がある場合は話が変わります。映像や証言などの証拠を使って、「ブレーキはやむを得なかった」と示すことができれば、過失を軽減できる可能性が高まります。
法令違反を犯していた場合

追突されたとはいえ、自分に交通違反があった場合は「100:0」にはなりません。
たとえば、駐停車禁止の場所に止めていた、ハザードを出さずに路上に停車していた、夜間にライトをつけていなかった――こうした違反があると、「その分、あなたにも責任があります」と判断されてしまうのです。
さらに、飲酒運転や無免許運転などの重大な違反がある場合は、より重い過失を問われることも。つまり、追突されたからといって、必ずしも「完全に悪くない」とは言い切れないのです。
追突事故の過失割合に納得いかなかったら

追突事故では「100(追突した側):0(追突された側)」が原則のはず。それなのに、加害者側の保険会社から、思わぬ割合を提示されるケースも少なくありません。
特に損害額が高額になるほど、過失割合のたった1割の違いでも受け取れる金額に大きな差が出ます。納得できないまま話を進めてしまうと、あとで後悔することにもなりかねません。
不公平に感じたらそのままにせず、自分の立場を守るために、正当な割合を主張していくことが大切です。ここからは、具体的にどんな方法があるのかを見ていきましょう。
ドライブレコーダーを提出する
追突事故で過失割合をめぐる争いが起きるのは、多くの場合「事故状況の食い違い」が原因です。そんなときでも「急ブレーキはしていない」「ちゃんとウインカーを出していた」といった主張も、映像があれば客観的に証明できます。
実際に、ドラレコの映像があったことで過失割合が大きく変わったケースも少なくありません。提出は義務ではないものの、ぜひ活用してください。
なお、映像データは容量がいっぱいになると上書きされるため、早めに保存・バックアップしておきましょう。
実況見分調書を提出する
「ドライブレコーダーが録れていなかった…」「そもそも付けていなかった…」という倍は「実況見分調書」を利用しましょう。実況見分調書は、事故現場で警察が状況を確認・記録したもので、過失割合を判断するうえで重要な証拠になります。
また、現場近くの防犯カメラ映像や、目撃者の証言、事故直後に撮った写真なども補強材料になります。
自分に不利な状態で話が進んでしまわないよう、できるだけ多くの証拠を集めましょう。
ADRを利用する
「保険会社との話し合いが平行線で、どうしたらいいのか分からない…」そんなときに頼れるのがADR(裁判外紛争解決手続)です。
ADRのひとつ、「交通事故紛争処理センター」では、交通事故や損害賠償の専門家が、中立の立場で話し合いのサポートをしてくれます。
費用は原則無料。弁護士が示談や和解のあっせんをしてくれるので、自分一人で戦わずにすみます。
必ず希望通りの結果が得られるとは限りませんが、一度相談してみる価値は十分にあるでしょう。
弁護士に依頼する
保険会社との交渉は専門的でストレスも多く、知識がないと不利な条件を飲まされることもあります。弁護士に依頼すれば、あなたの代わりに交渉を進めてくれるだけでなく、証拠の収集や書類の準備もサポートしてくれます。
自動車保険に「弁護士費用特約」がついていれば、最大300万円までの費用を保険でまかなえるため、実質無料で依頼できるケースも多いです。
「弁護士に頼むなんて大げさかも…」とためらう必要はありません。過失割合に納得いかないなら、ぜひ一度相談してみてください。
まとめ
追突事故の過失割合は「100:0」が原則とされていますが、状況次第では被害者にも過失がつくことがあります。
だからこそ、ドラレコの映像、実況見分調書、防犯カメラ、目撃者の証言、現場写真など、集められる情報はしっかり押さえておきましょう。
もし過失割合に納得できない場合は、ADRの利用や弁護士への相談も検討を。専門家の力を借りることで、自分の主張をしっかり通すことができるかもしれません。