「うっかり大切な写真を消してしまった…」「仕事の書類がどこにも見つからない!」そんなときに頭に浮かぶのが、「データ復元」や「データ復旧」ではないでしょうか。
どちらもデータを取り戻すという点では同じですが、実は意味が異なります。
この記事では、「データ復元」と「データ復旧」の違いや、状況に応じた対処法をわかりやすく解説していきます。
「 データ復元」と「データ復旧」の違い

簡単に言えば、データ復元は「元通りに戻すこと(同一性)」を重視し、データ復旧は「また使える状態にすること(実用性)」を重視しています。
まずは、2つの違いを確認しましょう。
データ復元とは
「データ復元」は、削除や初期化などで失われたファイルを、できるだけ元の状態に近づけて戻すことが目的です。
例えば、うっかり消してしまったドキュメントを、削除前と同じ場所・同じ状態で復活させるイメージです。英語では「Data Restoration(データリストレーション)」と呼ばれています。
データ復旧とは
「データ復旧」は、壊れてしまった機器やトラブルの起きた記憶装置から、必要なデータを取り出して再び使える状態にすることを指します。
水濡れで起動しなくなったパソコンや認識されなくなったUSBメモリから、写真を救出して別のデバイスに保存するようなケースです。たとえ元通りの場所でなくても、使える(閲覧・編集できる)ので良い、という考え方です。
英語では「Data Recovery(データリカバリー)」と呼ばれています。
「 データ復元」「データ復旧」主な方法
「データ復元とデータ復旧の違いはわかったけど、じゃあ実際にはどうすればいいの?」と思った方も多いのではないでしょうか。
ここからは、データを取り戻す代表的な方法を紹介していきます。
「ごみ箱」から復元する

パソコン操作を間違ってファイルを削除してしまったと気づいたら、まずは「ごみ箱」を確認しましょう。多くの場合、削除したデータはすぐに完全に消えるわけではなく、一時的にごみ箱に移動されています。
デスクトップにあるごみ箱アイコンを開いて、目的のファイルが残っていないか探してみてください。ファイルを右クリックして「元に戻す」を選ぶだけで、元の保存場所に復元されます。
ただし、ごみ箱の設定や削除の方法によっては、ファイルがごみ箱を経由せずに完全に消えてしまっていることも。その場合は、他の手段を考える必要があります。
バックアップから復元する
Windowsには「ファイル履歴」という便利なバックアップ機能が搭載されています。万が一データを削除してしまっても、何度かクリックするだけで復元することができます。
操作方法はシンプルで、「Windowsツール」→「コントロールパネル」→「ファイル履歴でファイルのバックアップコピーを保存」→「個人用ファイルの復元」を選びます。
過去の履歴から目的のファイルを見つければ、元の場所に戻すことができるのです。
ただしこの方法が使えるのは、事前に外付けハードディスクやUSBメモリなどにバックアップを取っていた場合に限られます。もしもの時に備えて、普段からバックアップをとる習慣をつけておくことが大切です。
「以前のバージョンの復元」を使う
誤ってファイルを削除してしまったり、うっかり上書きしてしまった時でも、「以前のバージョンの復元」という機能を使えば、過去の状態に戻せる可能性があります。
使い方はとても簡単。元の状態に戻したいファイルやフォルダを右クリックして、「以前のバージョンの復元」を選びます。表示された「以前のバージョン」タブから、復元したい日時のバージョンを選んで復元するだけです。
ただし、機能を利用するには、あらかじめファイル履歴機能を有効にしておかなければなりません。
データ復活ソフトを利用する
データ復活ソフト(復元ソフト / 復旧ソフト)は、削除されたファイルや読み込めなくなったデータをスキャンして、必要なデータを探し出してくれます。
無料で使えるものもあり、初心者でも試しやすいのが魅力です。
ただし、ソフトの種類によって精度には差があり、ファイルサイズや対応フォーマットに制限があることも。また、新たなデータが上書きされてしまい、復旧がさらに難しくなる場合もあるので注意してください。
データ復旧業者に頼む

大切なデータをどうしても取り戻したいなら、データ復旧の専門業者を頼りましょう。
パソコンが水没して起動しない、ハードディスクから異音がする、USBメモリがまったく反応しない…そんな重度のトラブルでも、専用の機器と技術でデータを救出してくれる場合があります。
もちろん費用はかかりますが、「子どもの成長記録」「仕事の重要ファイル」など、お金に代えられないデータなら迷わずプロに依頼すべきです。
まとめ
この記事を通じて、「データ復元」は元の状態に戻すこと、「データ復旧」は再び使えるようにすること、という違いが理解できたのではないでしょうか。
データを取り戻す方法にはいくつかありますが、大切なデータを失って困っているなら、最初から専門業者に相談することをおすすめします。