「パソコンのパスワードがわからない……でも、もう本人に聞けない。」そんな状況に直面して戸惑っていませんか?
故人が使っていたパソコンには、家族や友人との思い出、あるいは仕事に関する重要な情報が詰まっていることも珍しくありません。
そこで今回は、故人のパソコンを放置するリスクや、具体的な対処法を解説していきます。
故人のPCのパスワードを解除できないとどうなる?

「ロックを解除できないなら、無理に開けなくてもいいか…」と思っていませんか?でも実は、放置することで思わぬトラブルや後悔につながることがあります。
まずは、具体的にどんなリスクがあるのかを見ていきましょう。
思い出の写真や動画を残せない
パソコンには、家族旅行の写真や何気ない日常を記録した動画が保存されているでしょう。こうしたデータは、故人の人生を感じられる大切な思い出です。
でも、パスワードが分からないまま放置してしまうと、パソコン自体が劣化したり、データが消えてしまったりすることがあります。
「いつか時間ができたら…」と後回しにしているうちに、二度と取り戻せなくなるかもしれません。
故人の交友関係を把握できない
最近では、年賀状のやり取りが減り、連絡手段の多くがメールやSNSになっています。そのため、パスワードが分からずパソコンを開けないと、葬儀の連絡が必要な人に連絡できない…なんてことも起こりえます。
また、仕事関係のデータが残っていれば、取引先への連絡や引継ぎが遅れてトラブルになるかもしれません。「もっと早く確認しておけばよかった」と後悔する前に、できるだけ早く対処を考えることが大切です。
ネット銀行や証券口座にアクセスできない
今や多くの人が、銀行口座や株、仮想通貨の管理をパソコンやスマホで行っています。ログインできなければ、残高や取引履歴を確認することすらできません。
大切な資産を見落としたり、逆に知らないうちに借金を背負っていたりするでしょう。
相続の手続きを進めた後では、「負債があったから、やっぱり相続放棄したい」と思っても原則できないため、注意が必要です。
サブスクリプションサービスを解約できない
音楽や映画の配信サービス、クラウドストレージ、ウイルス対策ソフトなど、月額課金の「サブスク」は思った以上に種類が多くあります。
「数百円くらいなら…」と思いがちですが、毎月積み重なると年間で数万円になるでしょう。
気づかないまま料金だけが引き落とされ続ける―そんな状況を防ぐためにも、なるべく早くパソコンへのアクセス手段を見つけたいところです。
故人のPCのパスワードがわからないときの対処法
では、故人のパソコンにロックがかかっていて、パスワードが分からない時は、どうすればいいのでしょうか。ここからは具体的な方法を説明していきます。
故人の手帳やメモを確認する

まずは故人の手帳や日記、エンディングノート(終活ノート)などを探してみましょう。多くの方が、パスワードを忘れないようにどこかにメモしています。
また、パソコンのモニターやキーボードの裏に、付箋で貼られていることも。一度確認してみましょう。
パスワードを推測して入力する
誕生日や結婚記念日、ペットの名前をパスワードとして設定している方も少なくありません。「もしかして、この番号…?」と思い当たることがあるなら、試してみてください。
ただし、パスワードを何度も間違えると、パソコンがロックされたり、データが初期化されたりするリスクがあります。思い当たるものがいくつかある場合でも、メモを取りながら慎重に、回数制限を意識して試すようにしましょう。
「セキュリティの質問」を利用する

パソコンがWindows(ローカルアカウント)であれば、「セキュリティの質問」によってパスワードをリセットできる可能性があります。
セキュリティの質問とは、「最初に飼ったペットの名前は?」「子どもの頃に住んでいた町の名前は?」など、あらかじめ設定された質問に答えることでログインを試みる方法です。
ご家族や親しい人なら、答えられるかもしれません。
ただし、Windows 10や11では3つの質問すべてに正解しなければならないため、ハードルが高いと言えるでしょう。
パスワード解析ソフトを利用する
パスワードを解析するソフトも存在します。有料のものでも1万円前後、無料のものもあるため、手軽に試せます。
ただ、画面表示が英語だったり、操作が専門的だったりすることが多く、パソコンに詳しくない方には扱いづらいのがデメリットです。
専門業者に依頼する
「自分ではどうにもできない…」「絶対に写真だけは取り出したい」そんなときは、専門業者に相談しましょう。
費用はかかりますが、経験豊富なプロが専用の機材やソフトを使って対応してくれるため、パスワードの解除成功率も高く、データを安全に取り出せる可能性があります。
費用や対応内容は業者によって異なるので、信頼できる業者を探してみてください。
まとめ
故人のパソコンにアクセスできない場合、「面倒そうだから」「あとで考えよう」と先送りにしてしまうと、取り返しのつかないことになるかもしれません。
まずは手帳やメモを確認し、思い当たるパスワードを試してみるところから始めましょう。ただし、パスワードを何度も間違えると、パソコンがロックされたり、データが初期化されリしてしまいます。
安全にデータを取り出したいのであれば、最初から専門家に相談することをおすすめします。