交通事故に遭った後、相手の主張と食い違いがあり、不安や疑問を感じていませんか?警察の実況見分や保険会社の判断だけでは、納得できないケースも少なくありません。

そんなときに役立つのが「交通事故鑑定書」です。

この記事では、交通事故鑑定書とは何か、どんなケースで必要になるのか、そして依頼する際の具体的な手順や準備すべき資料について分かりやすく解説します。

納得のいく解決を目指すために、ぜひ最後までお読みください。

交通事故鑑定書とは

交通事故鑑定書とは、事故の発生状況や過失の有無を客観的かつ専門的に分析し、公正な判断を下すために作成される書類です。

ここでは、交通事故鑑定書の基本について解説していきます。

交通事故鑑定書は2種類ある 

交通事故鑑定書には2種類あります。

まず、事故によるケガの原因や治療の必要性を医学的な視点で分析し、カルテや検査結果、医療画像をもとにまとめたものです(医師による鑑定書/意見書)。後遺障害の認定や慰謝料請求においても、医師の意見書が証拠として活用されます。

もうひとつが、「事故の状況を客観的に証明するための鑑定書」です。これは、写真やドラレコの映像を分析し、事故の発生原因や車両の動きを再現するものです。

今回は、後者の「写真やドライブレコーダーをもとに作成する鑑定書」に焦点を当てています。

交通事故鑑定書を活用したいケース

以下のようなケースでは、鑑定書の活用を検討するとよいでしょう。

  • 加害者・被害者の主張が異なる
  • 加害者側が責任を認めない
  • 過失割合・賠償額に納得がいかない
  • 相手が提出した証拠に対する反証資料として
  • 被害者が死亡、または意識不明で証言できない

交通事故鑑定書を依頼する際の流れ

交通事故鑑定書を作成するには、専門の鑑定機関や事故鑑定士に依頼する必要があります。以下に大まかな流れをまとめましたので、参考にしてください。

  1. 専門機関や鑑定士に相談する
  2. 鑑定費用の見積もりを確認する
  3. 依頼契約を結ぶ
  4. 資料を提出する
  5. 「交通事故鑑定書」を受け取る(1~2ヶ月程度)

鑑定書作成には費用がかかりますが、自動車保険に「弁護士費用特約」が付いている場合、負担を軽減できます。保険内容を確認した上で、専門家に相談してみてください。

交通事故鑑定書を作成する方法

交通事故鑑定書を作成するには、事故当時の状況を可能な限り正確に再現することが重要です。そのためには、証拠を幅広く収集し、専門的な分析を行う必要があります。

ここでは、主な分析手法について解説します。

ドライブレコーダー

車にドラレコを搭載しているでしょうか。記憶が曖昧になりやすい事故の状況も、映像をもとに正確に再現できるため、当事者の証言が食い違う場合や、責任の所在を明らかにする際に非常に有効です。

  • 事故発生時の信号の色
  • 相手の車が動き出したタイミング(飛び出し・追突)
  • 車両の位置関係
  • 速度
  • ブレーキの有無

ドライブレコーダーの画質や周囲の環境によって映像が不鮮明な場合でも、画像解析サービスを利用すれば、見えづらい部分を鮮明化できることもあります。「しっかり撮れていなかった…」と諦めず、一度相談してみてください。

写真画像

事故直後は混乱していて写真を撮る余裕がないかもしれませんが、可能な限り多くの写真を撮影しておきましょう。

以下のポイントを押さえて撮影しておくと、事故状況の分析がより正確に行えます。

  • 事故現場全体(交差点の形や信号、道路標識など)
  • 路面状況(雨や雪、凍結の影響があったかどうか)
  • 車両の損傷・破損部分(衝突した角度やダメージの大きさ)
  • ブレーキ痕や飛散物

現場調査

専門家が実際の事故現場を調査し、地形や交通状況を詳しく確認することもあります。例えば、「見通しが悪く、相手の車が急に現れた」と主張する場合、死角や障害物の影響を調査し、事故の原因を分析します。

車両の損傷

車両の損傷状況を分析することで、事故当時の衝突角度や速度を推測できます。例えば、バンパーやライトの破損状況から車両同士がどのように接触したのかを推測し、当事者の証言と照らし合わせます。

シミュレーション

事故発生時の車両の動きや衝突の状況をコンピューターに入力し、「運転者が回避できたか」などをシミュレーションする手法です。目撃証言や主張だけでは判断が難しい事故状況を科学的に検証することが可能になります。なお、弊社では上記のようなソフトウェアを使ったシミュレーションは行なっておりません。

交通事故鑑定書を依頼する際に用意したい情報

交通事故鑑定書を依頼する際には、できるだけ多くの証拠を揃えておくことが、スムーズな鑑定と正確な分析につながります。

  • 交通事故証明書(警察が発行)
  • 実況見分調書(警察が発行)
  • 交通事故状況図(手書きでも可)
  • 事故状況や損傷箇所が確認できる写真

もし、すでに裁判に発展している場合は、弁護士が作成する「準備書面」や、裁判所へ提出した書類のコピーを提出します。相手が調査報告書や鑑定書を提出している場合は、こちらも入手しておくと、不明確な点や矛盾を証明することが可能です。

まとめ

交通事故鑑定書は、事故の状況や責任の有無を客観的に分析し、公正な判断を得るための重要な書類です。

特に、相手の主張と食い違いがある場合や、過失割合・賠償額に納得できない場合に活用されます。

納得のいく解決を目指すために、写真やドライブレコーダーの映像、事故証明書などの証拠をしっかり揃え、早めに専門機関へ相談しましょう。

※現在弊社では個人のお客様からの直接のご依頼は承っておりません。必ず代理人(弁護士等)を通してお問い合わせいただきますようお願い申し上げます。