フリートマネジメントにドライブレコーダーは必要?理由と選び方

社用車やリース車など複数の車両を抱える企業では、車両管理(フリートマネジメント)が欠かせません。安全運転や法令遵守を徹底することに加え、トラブル防止の備えとしても重要です。

中でも注目されているのがドライブレコーダーの導入です。今回は、フリートマネジメントにおけるドラレコの役割や、導入時に確認したいポイントを解説します。

顔写真

阿部友保 (あべともやす)

2002 〜 2017 年、交通事故専門の調査会社で10,000件以上に関わる。調査マニュアルの作成や調査員の育成に加え、事故解析や証拠資料作成など、交通事故訴訟に関わる業務を担当。
2017年より独立開業し、2022年に株式会社東海DCを設立。交通事故鑑定・ドライブレコーダー・防犯カメラの動画・画像解析のプロフェッショナルとして活動中。

フリートマネジメントの主な業務

フリートマネジメントとは、企業や組織が所有する車両(フリート)を、安全かつ効率的に運用するための取り組み全般を指します。具体的には、以下のような業務が含まれます。

  • 車両維持管理(点検・整備、車検・保険の更新など)
  • コスト管理(燃費管理、修理・保守費用の最適化)
  • 運行管理(配車計画、運行ルートの最適化、運転記録の管理)
  • ドライバー管理(運転者台帳、安全運転教育、健康・アルコールチェック)
  • 安全管理(事故防止、トラブル対応)
  • 法令遵守(保険加入・点検整備)
  • データ分析とレポート(車両の稼働状況、管理記録の分析)

フリートマネジメントにドラレコは必要?

近年は、ドライブレコーダーをフリートマネジメントシステムと連携させる企業も増えています。ここでは、ドラレコを導入したほうがよい理由を紹介します。

安全運転の指導に役立つ

ドラレコで取得した映像や走行データを分析することで、急ブレーキや急ハンドルといった危険運転を早期に把握できます。

客観的な映像記録は、ドライバー本人への安全運転指導にも活用しやすく、感情的にならず具体的な改善点を伝えられます。

また、運転が常に記録されているという意識が安全運転の抑止力にもなり、ヒヤリハットの減少や事故リスクの低下にも結びつくでしょう。

運行ルート最適化

ドラレコとGPS機能を連携させることで、リアルタイムで車両位置や稼働状況を把握できます。

位置情報をもとに渋滞を避けた効率的なルートを選定できるうえに、急な配車変更にも即座に対応できるため、業務全体の対応力を高められるでしょう。

さらに、無駄な走行や待機時間を減らせるようになり、燃料コストの削減にも貢献します。

トラブル時の証拠として

ドラレコは衝突を感知すると自動的に録画するため、交通事故や物損事故、車両トラブルが発生した際に状況を示す証拠となります。

目撃者がいない場合でも映像が残っていれば、過失割合の判断や保険会社への提出資料として利用できます。

クレーム対応にも有効なため、ドライバーを守りたい企業は導入を検討してみてください。

フリートマネジメントでドラレコを選ぶポイント

ドラレコは様々な種類が販売されていますが、どのように選べばよいのでしょうか。

フリートマネジメントの一環として導入する際は、運用体制に適した機能を備えているかを確認することが重要です。ここからは、購入時に意識しておきたいポイントを紹介します。

映像の管理方法

複数車両にドラレコを設置する場合、SDカードを一台ずつ回収して映像を確認するのは大きな手間です。

近年はクラウド型のドラレコ管理システムと連携し、インターネット経由で遠隔ダウンロードや自動アップロードを行えるモデルも登場しています。

事故やトラブルが起きた際に迅速に映像を確認するためにも、クラウド保存やリモート閲覧機能が搭載されているかどうかを確認しましょう。

画質(解像度)

ナンバープレートや信号の色を鮮明に記録できるかどうかは、解像度がカギとなります。一般的に販売されているのはフルHD(1920×1080)で、ナンバープレートを判読するには十分な水準です。

夜間走行が多い車両や高速道路を走る車両では、さらに高精細なWQHD(2560×1440)や4K(3840×2160)モデルを検討するのもよいでしょう。

ただし、高解像度になるほど価格も高くなり、データ容量も増えてしまう点には注意が必要です。

撮影範囲

ドラレコの撮影範囲は「前方のみ」「前後方」「前後+車内」「360度カメラ」の4種類に大別されます。

営業車や送迎車など人を乗せる車両では、客席側を記録できるタイプが安心です。乗務員や乗客を狙った強盗・暴行といった犯罪を抑止できるほか、接客トラブル防止や苦情対応の証拠としても活用できます。

導入・運用コスト

ドラレコの本体価格と取り付け工賃を含めると、1台あたり4万〜6万円はかかります。記録媒体として使用するSDカードも定期的に交換する必要があり、その購入費も考慮しなければなりません。

さらに、クラウド型ドラレコ管理システムを利用する場合は、月額利用料やデータ通信費が継続的に発生します。

導入後に予算を超過しないよう、台数や契約プラン、保守サポート内容まで含めて比較検討してみてください。

まとめ

フリートマネジメントを実施するなら、ドライブレコーダーもぜひ導入しましょう。事故防止や証拠確保だけでなく、車両位置の把握や稼働状況の可視化など日常業務にもにも役立ちます。

購入する際は、映像管理のしやすさ、解像度、撮影範囲といったポイントを押さえ、運用体制に合ったモデルを選ぶことが大切です。

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