パソコンの「サルベージ」とは?意味、作業方法、注意点を解説

仕事で使っている書類、家族や友人との思い出が詰まった写真。大切なデータに、ある日突然アクセスできなくなったら…焦りますよね。

でも、まだ諦める必要はありません。そんなときに頼りになるのが「サルベージ」です。

この記事では、サルベージの意味から実際の方法や注意点まで、わかりやすく解説していきます。

パソコンの「サルベージ」とは

パソコンの電源が入らなくなったり、大切なファイルが開けなくなったりしたときに使われるのが「サルベージ」という手段です。

まずは、サルベージの基本を説明します。

サルベージの意味

「サルベージ(salvage)」はもともと「沈んだ船を引き上げる」という意味ですが、ITの世界では「データを引き上げる」という意味で使われます。

「データサルベージ」「データ復旧」「データ復元」とも呼ばれます。

対象になるのは、ハードディスク(HDD)、SSD、USBメモリ、SDカードなど。例えばパソコンが起動しなくなっても、ハードディスクが無事であれば、データを取り出せるかもしれません。

サルベージが必要となるケース

データにアクセスできなくなる原因は、「物理障害」と「論理障害」に分けられます。

「ノートパソコンを床に落としてから起動しなくなった」「USBメモリが水に濡れて認識されなくなった」といったケースは、そのものが壊れている物理障害です。

一方、「誤ってフォーマット(初期化)してしまった」「ウイルスに感染してファイルが開けなくなった」など、内部のデータやシステムに問題があるのが論理障害です。

物理障害と論理障害が同時に発生していると、サルベージの難易度が高まります。

サルベージの主な方法

データをサルベージする方法は主に2つあります。以下に、特徴と費用目安をまとめました。

データ復旧ソフトを使う

「できるだけお金をかけずに…」と思うなら、候補に挙がるのがデータ復旧ソフトです。削除してしまったファイルやアクセスできなくなったフォルダを復元できるソフトが多数あります。

無料のものもあれば、有料でも1万円前後と比較的リーズナブルです。

手頃に試せるのが魅力ですが、無料版は復元できる容量に制限があったり、特定のファイル形式にしか対応していなかったりすることが多いです。

また、ソフトでデータを上書きしてしまい、完全に復旧できなくなることも珍しくないため、注意が必要です。

データ復旧業者に依頼する

「絶対にデータを失いたくない」「自分で試すのは不安」という場合は、データ復旧業者に依頼しましょう。

業者は高度な技術と専用の機器を備えており、故障したパソコンや記憶媒体の状態を的確に診断してくれます。原因に合わせて最適な方法でデータを取り出してくれるため、自分で試すよりも成功率が大幅に上がります。

費用は障害の種類やデータ容量などで変わりますが、一般的には3万〜6万円が目安。決して安いとは言えない金額ですが、「大切なデータを完全に失う」という最悪の事態を避けるための投資だと考えれば、決して高すぎるものではありません。

サルベージする前の注意点

「データが消えた!」と焦る気持ちはわかりますが、慌てて行動すると状況を悪化させる可能性があります。

サルベージを検討している方は、以下の注意点を確認しておきましょう。

「フォーマット(初期化)」しない

パソコン画面に「フォーマットする必要があります」と表示されたら、思わず「はい」とクリックしたくなりますよね。

でも、ちょっと待ってください!フォーマット(初期化)すると、データがすべて消えてしまいます。

フォーマットは最終手段と考え、まずは復旧ソフトや復旧サービスを検討しましょう。

再起動を繰り返さない

パソコンが起動しないときや、SSD・USBメモリが認識されないとき、「とりあえず再起動してみよう」と考えるかもしれません。

しかし、問題が起きている状態で何度も再起動すると、中の部品に大きな負荷がかかり、さらに深刻な故障に発展してしまう可能性もあります。

USBポートに息を吹きかけない

「USBメモリが認識されない」「接続・切断が繰り返される」。この症状は、USBポートにホコリが溜まって接触不良を起こしているせいかもしれません。

「ホコリが原因なら、息を吹きかければいいのでは?」と思いがちですが、とても危険。息に含まれる水分がポート内部に入り込むとサビやショートが発生し、サルベージがより難しくなるケースも…。

差し込み口を掃除したいときは、必ずエアダスターを使ってください。

ディスクチェックしない

パソコンに不具合が出たとき、「ディスクチェック」を思い浮かべる人も多いのではないでしょうか。ハードディスクやUSBメモリにエラーがないかをチェックし、修復を試みてくれる機能ですね。

ただし、ディスクチェックはあくまで軽微なエラーを対象としたもので、重大なトラブルが起きている場合にはかえって逆効果。

余計な負荷をかけてしまい、最悪の場合はデータが完全に消失してしまうリスクもあります。

まとめ

今回は、大切なデータを救い出す「データサルベージ」についてご紹介しました。

パソコンや記憶媒体が突然使えなくなっても、正しい手順を踏めば取り戻せるかもしれません。

ただし、自力でなんとかしようとすると、かえって状況を悪化させてしまうこともあります。少しでも不安を感じるなら、無理せず専門業者に相談することをおすすめします。

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