店内や駐車場で荷物が盗まれたお客様から「防犯カメラを見せてほしい」とお願いされた場合、どうしたらいいのでしょうか。困っているお客様を助けたい気持ちは理解できますが、映像は慎重に取り扱わなければなりません。

この記事では、店舗内で起こりやすい盗難の手口や、防犯カメラの映像を求められた際の対応方法をわかりやすく解説します。

お店でよくある盗難の手口

日本は海外に比べて治安が良いと言われますが、その安心感から荷物に注意を払わずに被害に遭うケースが少なくありません。

特にスーパーや飲食店では手荷物を一時的に手放すシーンが多く、置き引きのリスクが高まります。

  • お会計中に財布をカウンターに置いていたら、持ち去られた
  • トイレ入り口付近に置いた荷物が、用を足している間に盗まれる
  • 買い物袋やバッグを自転車の前かごに入れておいたら、持ち去られた
  • 店の傘立てにさしていた高級傘がなくなる
  • 商業施設に自転車を停めておいたら、盗まれた
  • 現金やキャッシュカードをATMに忘れ、戻っても見つからない

こうした手口に対して、店舗側は防犯カメラの設置や店員による巡回、注意喚起の掲示など、対策を講じることが大切です。

盗難が発生したら防犯カメラは見せるべき?

防犯カメラや監視カメラには犯罪の瞬間が記録されている可能性があり、「映像を確認したい」とお客様から依頼されることもあるでしょう。

しかし、映像の取り扱いを誤ると、法的トラブルやお客様との信頼関係に影響を及ぼすリスクがあります。ここでは、どう対応すべきかをケース別に解説します。

お客様から頼まれた場合

お客様から「財布・傘・自転車が盗まれた」「カメラの映像を見せてほしい」と依頼されても、基本的には断って構いません。防犯カメラの映像は管理者(店舗側)の所有物であり、他人に見せる義務はありません。

映像には他の人が映り込んでいる可能性が考えられ、無断で開示するとプライバシーの侵害となります。

たとえば、駐車場で車上荒らしに遭ったという方に映像を見せるとしましょう。関係のない場面も閲覧できる状態で、その内容が他者に伝われば、新たなトラブルを引き起こすかもしれません。もし映像を提供してもよいと考える場合は「警察に相談していただき、開示依頼書をお持ちください。警察の立ち合いのもとで対応します。」と説明するようにしましょう。

その上で、大事なお願いがあります。

映像データをすぐさま開示する必要はありません。しかし、その映像データ自体は、必ず保存するようになさってください。そのまま放置して上書きされてしまうことだけは避けてください。

もしかすると、その映像が唯一の手がかりになるかもしれません。とても重要なシーンが録画されているかもしれません。次の犯行を防ぐことができるかもしれません。

ですから、映像を確認させてほしいとの申し出があれば、すぐに見せなくても構いませんから、発生日時をきいて、そのときの映像データを確認し、犯行現場が映っていれば、すぐに保存してください。

その後、警察や弁護士を通して正式な依頼があり、映像データが適切に扱われることを確認できたのであれば、是非協力して映像データをご提供いただきたいと思います。

警察から協力を求められた場合

警察から映像の開示を求められた場合も拒否は可能ですが、協力することをおすすめします。

ただし、警察から「捜査関係事項照会書」を受け取った後で対応しましょう。この書類は正式な捜査依頼であることを示すものなので、映像を提出しても守秘義務や個人情報保護法の違反にはなりません。

警察は、防犯カメラの映像をもとに犯行当日の不審者や置き引きの瞬間を特定していきます。また、映像だけでなく、第三者の証言なども合わせて捜査が進められます。

店舗側が協力することで犯罪が素早く解決する上に、被害者との信頼関係を築くことができるでしょう。

防犯カメラで盗難の犯人を特定できる?

「財布を取って自分の服のポケットに入れる」という行為が映像に記録されていれば、動かぬ証拠となります。これ以外にも防犯カメラから得られる情報は多岐にわたり、犯人特定の手助けとなります。

以下に防犯カメラで分かることを挙げていきます。

犯人の顔、容姿

防犯カメラに犯人の顔が鮮明に映っている場合はもちろん、犯人逮捕に大きく近づきます。

顔が判別できなくても、身長や体型、身に着けている服の特徴(ロゴやデザインなど)もヒントとなります。

警察は、犯行当日だけでなく、その前後の映像もチェックし、怪しい人物を探します。犯人がその地域に住んでいる場合や頻繁に店舗を訪れていた場合、特定につながりやすいでしょう。

歩き方

顔がはっきり映っていなくても、歩き方(歩容)で犯人を特定できる可能性があります。歩容には個人特有の癖があり、歩幅や姿勢、腕の振り方などそれぞれ異なるのです。

最近では、歩容による個人識別の技術が進んでおり、高い精度で特定が可能とされています。

車のナンバープレート

駐車場に設置されたカメラに車両ナンバーが映っていれば、犯人逮捕までの時間は短縮されるでしょう。ナンバーが確認できれば、警察はその車の名義人を特定し、氏名や住所を突き止めることができます。

たとえナンバーが鮮明に映っていなくても、車種が分かれば犯人を絞り込めます。

まとめ

店内で盗難が発生した際、お客様から「防犯カメラの映像を見たい」と依頼されることは少なくありません。

しかし、防犯カメラの映像を他人に見せる義務はありません。映像データは保管しつつも、その映像データが渡した先で適切に扱われるかどうか確認できるまでは、開示することは断ったほうが良いかもしれません。

警察や弁護士からの正式な依頼がある場合には、ぜひ協力していただきたいと思います。