突然の交通事故、「まさか自分が」と思うのも束の間、警察や保険会社への連絡など、やるべきことが次々に押し寄せます。その中でも重要なのが「実況見分」。
実況見分とは、警察が事故現場で状況を確認し、記録を作成する手続きですが、初めての人にとっては「具体的に何をするの？」「ドラレコの映像はいつ渡すの？」と疑問が尽きないでしょう。
そこで今回は、実況見分で確認される内容や注意点、そしてドラレコを活用するためのポイントを解説します。
交通事故の実況見分とは
事故が発生すると、警察による「実況見分」が行われます。
簡単に言えば、加害者・被害者・目撃者が立ち会い、警察官が事故当時の状況を詳しく確認・記録する手続きです。
まずは、実況見分の基本について説明していきます。
実況見分をするとどうなる？
実況見分の結果は、「実況見分調書」という書類にまとめられます。実況見分調書は事故の状況を客観的に記録したものとして、示談交渉や裁判において重要な証拠となります。
内容によって過失割合や損害賠償の結果が大きく変わることもあるため、しっかりと対応しましょう。
実況見分はいつ行われる？
実況見分は、基本的に事故当日に行われます。警察が現場に到着すると、その場で事故の状況を確認し、関係者に話を聞きながら実況見分を進めます。
ただし、負傷して現場に残れない場合や、天候・道路状況が悪く詳細な調査が難しい場合は、後日行われます。
事故当時の状況を正確に伝えられるよう、記憶が新しいうちにメモを取る、ドラレコ映像を保存する、写真を撮るなどの対策をしておくと安心です。
実況見分に立ち会わなくてもいい？
実況見分への立ち会いは法律上の義務ではなく、任意とされています。「ケガで動けない」「仕事が忙しい」「事故対応で手一杯」など、立ち会うのが難しい状況もあるかもしれません。
しかし、立ち会わないと自分にとって不利な実況見分調書が作成される可能性があります。相手側の証言だけで調書がまとめられると、実際の事故状況と異なる内容になってしまうことも。
そのため、できるだけ立ち会い、自分の意見を正しく伝えることが大切です。どうしても都合が合わない場合は、警察に事前に連絡し、日程を調整してもらいましょう。
実況見分で確認される項目
実況見分では、事故の状況をできる限り正確に記録するために、さまざまなポイントが確認されます。事故の責任を判断するうえで重要な証拠となるため、詳細かつ正確に伝えることが大切です。
実況見分の際には、ドラレコの映像を見せるのもおすすめです。
ただし、一度警察に提出すると原則として返却されません。その場では閲覧のみとし、バックアップを取ってから渡すようにしてください。
ここでは、実況見分で特に重視される項目を紹介します。
路面状況
路面の状態や視界の悪さが事故に影響を与えた可能性があるため、以下のようなポイントが調査されます。
- 天候
- 視界
- 照明の有無
- 道路の形状や傾斜
- 路面の滑りやすさ
- 交通規制
事故発生時の状況
事故の瞬間、どのような状況だったのかをできるだけ詳しく伝えることが求められます。
- 衝突した場所
- 信号機の色
- 走行速度
- ブレーキをかけたタイミング
- 相手の車を認識した位置
記憶が曖昧な場合は、無理に推測せず、分かる範囲で答えるようにしましょう。
車両の損傷
車の衝突した箇所、へこみの程度などにより、衝突の角度やどちらの車がどの方向からぶつかったのかを分析します。
また、路面にブレーキの跡が残っている場合は、衝突の瞬間の速度やブレーキ操作の有無を推測します。
実況見分に立ち会う際の注意点
ここからは、実況見分に立ち会う際に特に注意すべきポイントを解説します。
ドラレコのデータを確保する
ドライブレコーダーに事故の瞬間が記録されていれば、実況見分の際に警察に見せましょう。事故状況をより正確に伝えることができるため、適切な過失割合が算定されるはずです。
ただし、ドラレコの映像は一定時間が経過すると自動的に上書きされるため、できるだけ早めにバックアップを取ることが重要です。
事故が発生したら、すぐにデータをパソコンやSDカード、クラウドストレージなどに保存しておきましょう。
証言をころころ変えない
事故直後は気が動転し、細かい部分の記憶が曖昧になっているでしょう。
しかし、実況見分での発言は調書に記録されるため、証言を何度も変えてしまうと信用性が下がり、不利な状況を招く可能性があります。そのため、頭の中を整理してから話すようにしましょう。
記憶に自信がない場合は、「はっきり覚えていません」と伝えるのも一つの方法です。
署名・押印する前に内容を確認する
実況見分の最後には、作成された「実況見分調書」に署名・押印を求められます。
重要なのは、一度署名・押印をすると、後から訂正を求めることは基本的にできないという点です。
「自分が説明した内容と違う」「意図と異なる表現になっている」と感じた場合は、そのまま署名せず、その場で警察官に訂正を依頼しましょう。
「細かい部分だからいいか」と流してしまうと、後の示談交渉や裁判で不利になるかもしれません。
まとめ
実況見分は、事故当時の状況を記録し、示談交渉や保険会社の判断、さらには裁判の証拠としても使われる重要な手続きです。そのため、できるだけ正確に状況を伝えることが大切になります。
もしドラレコに記録されていれば、実況見分の際に見せることで、事故状況をより明確に伝えることができます。
ただし、警察に提出すると原則として返却されないため、事前にバックアップを取ることを忘れないようにしましょう。
事故後は誰でも冷静さを失いやすいものです。この記事の内容を参考にしながら、ひとつずつ対応していきましょう。