追い越し事故の過失割合は？追い抜きとの違い・追い越し禁止の場所

追い越し事故は、運転中の判断ミスや認識の違いから発生することが多く、過失割合をめぐってトラブルになるケースも少なくありません。

さらに、「追い越し」と「追い抜き」の違いが分からず、自分の事故がどちらに該当するのか判断できない方も多いでしょう。

この記事では、追い越し事故の定義や、ケース別の過失割合について分かりやすく解説します。自分の立場を正しく理解し、適切に対応できるようにするため、ぜひ最後まで読んでみてください。

そもそも追い越し事故とは？

そもそも、あなたが遭った事故は「追い越し事故」に当たるのでしょうか？まずは、追い越し事故の基本を理解しましょう。

道路交通法では、「追い越し」とは次のように定められています。

追越し　車両が他の車両等に追い付いた場合において、その進路を変えてその追い付いた車両等の側方を通過し、かつ、当該車両等の前方に出ることをいう。

引用：道路交通法 | e-Gov 法令検索道路交通法第2条第21号

つまり、「前の車の横を通過するだけ」ではなく、「元の車線に戻ること」までが追い越しの動作に含まれるのです。

「追い越し」と混同されやすいのが「追い抜き」です。似たような行為ですが、道路交通法では次のように区別されています。

例えば、道路の端に停車している車の横を通過している場合は「追い抜き」に該当します。追い抜きと追い越しでは過失割合が変わってきますので、確認しておきましょう。

道路交通法では、特定の場所では追い越しが禁止されており、違反すると過失割合に影響が出ます。追い越しが禁止されている場所は以下の通りです。

道路交通法第27条には「他の車両に追いつかれた車両の義務（避譲義務）」が定められています。簡単に言うと、後続車が追い越しをしようとしたときは、以下のルールを守る必要があります。

追い越しを妨害すると違反行為として処罰の対象になるだけでなく、事故が発生した場合には過失割合が増える可能性があります。

追い越し事故では、追い越しをした側の過失割合が高くなりますが、状況によっては追い越された側にも一定の責任が生じることがあります。

ここでは、追い越し事故のケース別に過失割合を解説します。自分の事故の状況に当てはめながら、確認してみてください。

追い越し禁止の標識がある場所や、急な下り坂などでの追い越しは、原則として道路交通法違反になります。そのため、責任のほとんどが追い越した側にあると判断されます。

ただし、追い越された側にも「避譲義務（後続車に道を譲る義務）」があるため、追い越した側が90％、追い越された側が10％となるのが一般的です。

追い越しが許可されている道路での事故の場合、追い越された側にも多少の責任があるとして、追い越した側が80％、追い越された側が20％と判断されることが多いです。

ただし、「追い越そうとしている車を認めながら速度を上げた」など追い越しを妨害した場合は、追い越された側の過失が増加します。

交差点は基本的に追い越し禁止となる場所が多いため、追い越した側の責任が非常に重くなります。

例えば、交差点で右折しようとしている車を追い抜こうとして接触したケースでは、追い越した側が90％、右折する側が10％になると考えてよいでしょう。

優先道路である場合など、交差点での追い越しが禁止されていないケースもあります。この場合、追い越した側と追い越された側のどちらにも責任が発生し、過失割合はそれぞれ50％になることが多いです。

「二重追い越し」とは、追い越しをしようとしている車をさらに追い越す行為のことです。

二重追い越しをされる車は減速やハンドル操作などで車を回避する「避譲義務」が生じませんので、追い越した側が100％の責任を負います（※追い越し禁止場所の場合）。

追い越し事故の過失割合は、「追い越し禁止の場所か」「追い越された側の対応は適切だったか」によって変わります。

一般的には、追い越した側の過失が大きいのですが、追い越された側にも避譲義務があるため、状況によっては被害者側の過失が増加します。

適切な過失割合を算定してもらうため、そしてスムーズに解決するために、弁護士に相談することをおすすめします。