停電時、防犯カメラはどうなる?遠隔監視できる?よくある疑問と対策方法

落雷や工事による停電で防犯カメラが止まってしまえば「その瞬間の映像」が一切残らず、不審者の侵入やトラブル対応に大きな穴があきます。

特に法人の場合、証拠が残らないことは大きなリスクとなり、事故対応や保険、顧客との信頼関係にも影響しかねません。

そこで今回は「停電時、防犯カメラはどうなるのか?」という疑問にお答えするとともに、停電中でも稼働を続けるための方法をわかりやすく解説します。

顔写真

阿部友保 (あべともやす)

2002 〜 2017 年、交通事故専門の調査会社で10,000件以上に関わる。調査マニュアルの作成や調査員の育成に加え、事故解析や証拠資料作成など、交通事故訴訟に関わる業務を担当。
2017年より独立開業し、2022年に株式会社東海DCを設立。交通事故鑑定・ドライブレコーダー・防犯カメラの動画・画像解析のプロフェッショナルとして活動中。

停電時、防犯カメラはどうなる?

停電が発生すると、防犯・監視カメラの電源が落ちて録画も止まってしまいます。まずは、どんな影響が出るのか具体的に見ていきましょう。

基本的には停止する

防犯カメラは多くの場合、家庭用コンセント(AC電源)から電力を供給しています。停電が発生すると即座に電源が落ち、映像の録画も止まります。

録画機器だけでなく、Wi-Fiルーターやネットワークスイッチといった通信機器も同時に停止してしまうため、遠隔での映像確認やクラウドへの自動保存も不可能になります。

つまり、停電中は「現場で何が起きているかを把握できない」「その間の映像が一切残らない」という状態が発生し、もし不審者侵入や事故があったとしても証拠が得られないリスクがあるのです。

録画データも消失する可能性

録画データは基本的に録画機やサーバー内に保存されますが、停電によって電源が突然落ちると「強制終了」の状態になり、保存したファイルが破損する恐れがあります。

クラウド保存型のシステムであっても安心はできません。

停電によってWi-Fiルーターやネットワーク機器が止まれば通信が途絶し、録画データのアップロードが途中で止まってしまいます。その間に発生した映像はクラウドに残らず、後から確認できない「空白の時間」が生じてしまうのです。

停電から復旧すると自動で動く

多くの防犯カメラシステムは、電源が復旧すれば自動的に再起動するように設計されています。基本的に設定がリセットされることもなく、停電前と同じ状態で稼働を再開できます。

ただし、全ての機種が必ずしも自動復旧するとは限りません。古いモデルや特殊なシステムでは、再起動時に設定が崩れたり、録画が再開されたりするため、ご注意ください。

停電でも防犯カメラを稼働させる方法

停電が起こると防犯カメラが止まってしまうとお伝えしましたが、工夫次第で録画を続けることも可能です。

ソーラー充電式防犯カメラを選ぶ

太陽光発電で電力をまかなうタイプの防犯カメラは、停電の影響を受けずに稼働します。SIMを内蔵して携帯回線で通信するモデルなら、停電時にネットワーク機器が止まっても遠隔監視を継続可能です。

一方で、天候や設置環境に大きく左右される点には注意が必要です。日照が少ない地域や建物の陰になる場所では充電効率が落ち、長時間の連続稼働が難しくなる場合があります。

乾電池式の防犯カメラを選ぶ

乾電池駆動のカメラは、電池が切れない限り稼働を継続できます。電源の引き込みが難しい倉庫や仮設現場などにも柔軟に設置できるのも大きなメリットです。

電池交換なしで6〜12か月間稼働」といった製品も存在するのでこまめに交換しなくてもよいのですが、使用環境によって異なります。いざという時に「動いていなかった」を防ぐために、定期的なチェックが欠かせません。

無停電電源装置(UPS)を使う

無停電電源装置(UPS)は、停電や瞬時の電圧低下など電源トラブルが発生した際に、内蔵バッテリーから電力を供給し続ける装置です。

UPSを導入しておけば、防犯カメラや録画機、Wi-Fiルーターといった機器に停電直後も一定時間電力を供給でき、録画や遠隔監視を継続できます。

一般的な小型UPSであれば数時間程度のバックアップが可能ながら、2〜3万円程度と比較的低コストです。「まずは最低限の停電対策を」という場合にはUPSを導入しておくとよいでしょう。

大容量蓄電池を導入する

大容量蓄電池を利用すれば、数十時間から数日間にわたって防犯カメラを稼働させることが可能です。停電が長引く災害時でも監視を止めずに済むため、重要拠点や人の出入りが多い施設にぜひ導入したいところです。

ただし、初期投資が高額になってしまう点がネックです。たとえば5kWhの蓄電池で約125万円、10kWhで180万円前後が目安です。

「長時間の停電を想定すべき拠点か」「防犯リスクがどれだけ高いか」を踏まえて検討することをおすすめします。

まとめ

停電が発生すると、防犯カメラは基本的に停止し、録画や遠隔監視ができなくなります。店舗や工場、オフィスなどで監視の空白時間が生まれれば、不審者侵入やトラブル発生時に「証拠が残らない」という深刻なリスクにつながります。

こうした事態を避けるためには、AC電源以外の手段を確保しておくことが重要です。

「ソーラー式や乾電池式の防犯カメラに切り替える」または「UPS・蓄電池を備える」など、どの方法が自社に最適なのか検討してみてください。

  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!