交通事故に遭った際、ドライブレコーダーの映像は重要な証拠となります。しかし、その映像を警察や保険会社に提出するかどうか迷う方も多いでしょう。

この記事では、ドラレコの映像を提出しなくてもいいのか、そして提出しない場合はどのような影響があるのかについて解説します。

ドラレコは提出しなければいけない?

結論から言うと、ドライブレコーダーの記録の所有権は個人にあります。保険会社はもちろん、警察であっても任意でしか提出は求められません。

まずは、ドラレコの提出義務について確認してみましょう。

警察への提出は義務ではない

警察や保険会社にドラレコの映像を見られると「自分が不利になる」と感じた場合、拒否しても問題ありません。例えば、以下のようなケースでは自分の過失が増える要因や、相手の刑事罰を軽減させる可能性もあります。

  • 事故当時に制限速度を超えていた
  • 赤信号を無視して交差点に進入していた
  • 一時停止の標識がある場所で停止せずに進んだ
  • 前の車に対して車間距離を詰めすぎていた
  • 進路変更や車線変更をする際に、ウィンカーを出さずに動いた

もしかしたら「自分が有利になりそうな部分だけ切り取ればいいのでは」「不利になりそうな部分を編集すればいいのでは」と考えるかもしれません。

しかし映像を編集したと疑われると、信憑性を証明しなければならず、編集が発覚すれば心証が悪くなります。映像の一部を抜粋して提出するくらいなら、初めから提出しない方が良いと言えます。

裁判所への提出は義務

警察や保険会社にはドラレコを提出しなくても構いませんが、裁判所が文書提出命令を出した場合は提出が義務になります。

従わなくても罰則はないものの、提出命令に応じないと相手方の主張が真実と認められ、判決で不利益を被る可能性があります。

例えば先方が「向こう(あなた)が信号無視をした」と主張し、その証拠としてドラレコの映像が求められたとします。ここで提出を拒否すると「あなたが信号無視したことで事故が発生した」と裁判所が認める可能性が高まってしまうのです。

提出前に弁護士に相談を

ドラレコの映像は、基本的には提出を検討するべきです。素人の判断で「この映像は自分に不利だ」と決めつけるのは危険です。「一時停止をしなかった」など明確な場合は問題ないかもしれませんが、微妙なケースでは専門家の意見を参考にするのが賢明です。

ここで役立つのが、自動車保険の弁護士費用特約です。特約を利用すれば弁護士へ委任・相談した際の費用が最大300万円まで補償されるので、ほとんどの場合、自己負担はありません。

弁護士は法律の専門家として映像をチェックし、映像を提出したほうがよいかを判断してくれます。提出を求められても、弁護士に相談してから行動することをおすすめします。

ドラレコを提出しないとどうなる?

もし警察や保険会社にドライブレコーダーを提出しない場合、どのような影響があるのでしょうか。具体的に見ていきましょう。

過失割合・損害賠償が適切でなくなる

過失割合とは、事故の原因となった「被害者の責任」と「加害者の責任」を割合で示したものです。責任の大きさは、交通違反や不注意の度合いなどによって判断されます。

ドラレコの映像には事故時の状況が詳しく記録されるため、正確な過失割合を算定しやすくなります。

しかし、ドラレコを提出しないと過失割合を決めるのが難しくなり、損害賠償額にも大きく影響します。自分に不利な過失割合が適用され、結果的に受け取れる金額も減ってしまう可能性があるのです。

示談交渉が長引く

被害者と加害者の主張が大きく異なると合意に至るのが難しくなり、示談交渉が長引くことがあります。

示談交渉の期間は事案によって異なりますが、人身事故で後遺障害がない場合は治療終了から2か月程度、後遺障害がある場合は6か月から1年程度が目安です。

ドラレコがあれば交渉がスムーズに進みやすいですが、提出しないと、交通事故証明書や車の損傷具合・現場のブレーキ痕などから事故状況を推測する必要があります。

例えば、片方が「赤信号で進入してきた」と主張し、もう片方が「青信号だった」と主張したとします。映像がないとどちらが正しいか証明するのが難しく、交渉が平行線をたどるでしょう。

示談が長引くと精神的にも疲れるでしょうし、治療費などで生活が苦しくなってしまうかもしれません。できるだけ早く問題を解決したいなら、ドラレコを提出したほうがよいでしょう。

まとめ

今回はドライブレコーダーの提出は拒否できるのか、提出しない場合はどうなるのかを解説しました。警察や保険会社への提出は義務ではありませんが、映像を確認してから提出するかどうかを決めるのが賢明です。

「自分に不利になるかもしれない」と感じる場合は、まず弁護士の意見を聞いてみましょう。

もし映像が不鮮明な場合は、専門の解析業者に依頼することも検討してください。弁護士経由で依頼すれば弁護士費用特約でカバーできるため、自己負担はほぼありません。

東海DCはドライブレコーダーの映像解析に豊富な実績があります。示談交渉や裁判で有利に進めたい方は、ぜひ弁護士を通じて私たちに相談してください。