防犯カメラで犯人を特定するのは難しい?人物を特定する方法や期間を解説

空き巣や窃盗、いたずらなどの被害から大切な自宅を守るために、防犯カメラを設置している方もいるでしょう。

防犯カメラは、設置することで犯罪を未然に防げるメリットがあります。

また、レコーダーを入れておけば、万が一被害に遭った際の証拠として使える可能性も。

そこで気になるのが、「防犯カメラで犯人特定が可能かどうか」という点です。

本記事では、防犯カメラで犯人は特定できるのか、解析のプロが詳しく解説していきます。

  • 空き巣被害を受けて犯人を特定したいと考えている
  • 近隣でいたずらや迷惑行為が多発していて不安・・・
  • 警察では証拠不十分で捜査が難しいと言われてしまった

上記のような方はぜひ参考にしてみてください。

顔写真

阿部友保 (あべともやす)

2002 〜 2017 年、交通事故専門の調査会社で10,000件以上に関わる。調査マニュアルの作成や調査員の育成に加え、事故解析や証拠資料作成など、交通事故訴訟に関わる業務を担当。
2017年より独立開業し、2022年に株式会社東海DCを設立。交通事故鑑定・ドライブレコーダー・防犯カメラの動画・画像解析のプロフェッショナルとして活動中。

防犯カメラで犯人を特定するのは難しい?

防犯カメラに犯人らしき人物が映っていた場合、「警察に映像を提出すれば、犯人が見つかる」と思っている方は多いかもしれません。

結論をお伝えすると、防犯カメラの情報から犯人特定につながる可能性は十分あります。

実際に、警察庁による統計調査によると、防犯カメラによって犯人が捕まるケースは年々増えていることが分かります。

参考:令和元年の刑法犯に関する統計資料令和2年の刑法犯に関する統計資料令和3年の刑法犯に関する統計資料令和4年の刑法犯に関する統計資料|警察庁

具体的には、空き巣や窃盗、住居侵入、器物損壊といった犯罪で、映像が決め手となるケースが多く見られます。ご自宅に防犯カメラを設置しているのであれば、積極的に活用しましょう。

そもそも防犯カメラでどんな情報が分かる?

防犯カメラの映像からは、犯人特定の手がかりとなるさまざまな情報を読み取ることができます。ここでは、その代表的な例を紹介します。

人物の特徴

顔立ちや体格、服装、持ち物などの見た目から、人物の特徴をある程度つかむことができます。

マスクや帽子で顔が隠れていても、歩き方や姿勢などの動きから人物を見分けられる場合があります。

車・バイク

カメラに犯人の車やバイクが映っていれば、車種や色、ナンバープレートなどの情報から所有者をたどれる可能性があります。

近年はナンバー認識技術が向上しており、画質が十分でない映像でも一部の情報を読み取れるケースが増えています。

犯行の瞬間・逃走経路

空き巣は事前に下見をして、留守時間や侵入口を確認してから行動します。手口や動きに一定の特徴がある場合は常習犯や同一犯の可能性が高まり、過去の事件と照合して候補を絞り込めます。

自宅のカメラだけでは追い切れなくても、近隣の交差点や商業施設、駅などの映像をつなげれば、犯行前後の足取りや逃走経路を時系列でたどれます。経路が分かれば、目撃情報や通行記録と合わせて有力な手がかりになります。

ほかにも、逃走中にすれ違った車のドライブレコーダーから映像を解析する場合もあります。

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防犯カメラで犯人を特定するまでの期間・保存期間は?

防犯カメラの映像が証拠となった場合、犯人特定まではどれくらいの期間かかるのか知りたい方もいるかもしれません。

犯罪の種類や映像の鮮明さによっても変わってきますが、防犯カメラから犯人が特定されるまでは、約1ヶ月程度かかります。

なお、防犯カメラの映像は下記のように保存期間が決まっています。

  • 街頭防犯カメラ:最大約1ヶ月
  • 電車や駅構内:約1週間以内
  • コンビニ・スーパー:約1週間~1ヵ月
  • マンションやアパート:1週間~1ヶ月
  • 自宅:約3日~1週間

せっかく自宅に防犯カメラを設置しても、データが消えてしまっては意味がありません。

自宅用の防犯カメラは、旅行や帰省などで長い期間自宅を空けることも踏まえて、1ヶ月くらい録画できるものを選ぶとよいでしょう。

目安として、1TBくらいの容量があると安心です。

以下の記事では録画時間や保存期間について解説していますので、あわせてご覧ください。

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防犯カメラで犯人特定をどうやって行う?

防犯カメラから、犯人を特定する際に用いられる手法をご紹介します。

三次元顔画像識別システム

三次元顔画像識別システム』とは、顔を立体物として識別する手法です。

防犯カメラの顔画像と、別の場所で撮れた容疑者の顔画像を照らし合わせ、同一人物かどうか判定します。

仮に、防犯カメラに犯人の顔が映っていたとしても、カメラが撮影する角度はさまざまなので、犯人かどうか判断するのは難しい場合がほとんどです。

しかし、三次元顔画像識別システムを利用すれば、映像を同じ大きさや角度に調整するため、個人の識別ができるようになります。

ただし、通常、犯人が何らかの犯行を計画性を持って行うときは、往々にしてマスクやサングラス、帽子などで顔や頭を隠しているため、顔画像から当事者を特定することは難しいと言えます。

歩容解析(ほようかいせき)

つぎに用いられる手法が、『歩容解析(ほようかいせき)』です。

人によって、リズムや歩幅、重心の位置、腕の振り方など、歩き方は異なります。どんなに変装していても、歩き方のクセは変わらないものです。

そのため、防犯カメラに犯人が歩いている映像が残っていれば、歩き方の特徴によって犯人を特定できる可能性があります。

捜査支援画像分析システム(DAIS)

警察の捜査支援分析センター(SSBC)では、『捜査支援画像分析システム(DAIS)』が運用されています。映像を専用ツールで解析し、人物や動き、服装パターン、車両の特徴などを自動的に抽出します。

顔が鮮明でない場合でも、歩き方や体型、所持品の形状などを手がかりに照合・追跡できることがあります。複数カメラの映像をつないで時間軸で追うことや、既存の捜査データベースと突き合わせることも可能です。

防犯カメラでは特定が難しいケース

防犯カメラを設置していても、下記のようなケースは犯人の特定が難しくなります。

敷地外からの被害

そもそも、犯人が防犯カメラの画角に収まっていない場合は、特定が難しくなります。

たとえば、敷地外から被害を受けた場合、自宅の防犯カメラのみでの特定することは難しいといえるでしょう。

前述したとおり、犯人の身体の一部や歩き方、車や持ち物など何かしらの手がかりが映っていれば、その情報をもとに特定につながるケースもあります。

以下の記事では防犯カメラの死角を減らすためのポイントを紹介しています。ぜひご参考ください。

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常習性のない被害

常習的な犯行は、証拠映像として記録が残るため、犯人の特定がしやすくなります。

証拠映像が多ければ、個人を特定する判断材料が増えていきますが、逆に一時的な被害の場合は個人の特定は難しいでしょう。

前述したように、前科のある犯人であれば、単発的な被害であっても、警察の捜査によって身元の特定ができる場合もあります。

映像が不鮮明

細かな情報が確認できない場合は、警察でも個人を断定するのが困難です。

例えば、防犯カメラに人物が映っていても、画質が荒かったり照明が暗かったりすると、顔の輪郭や服の柄、車のナンバープレートなどの判別が難しくなります。

特に夜間や逆光、雨天時などは映像がぼやけやすいため、設置場所や照明の位置など撮影環境を整える工夫が欠かせません。

以下の記事ではナンバープレートが見えない原因と対処法について解説しているので、あわせてご覧ください。

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防犯カメラの解析は『東海DC株式会社』へお任せください!

弊社『東海DC株式会社』では、防犯(監視)カメラやドライブレコーダーの解析をおこなっています。

しかし、ここでいう「解析」というのは、低解像で判別できないものを、高解像化して見えるようにするということではありません。

もちろん補正や調整によって、可能な限り鮮明化はします。しかし、元データにない画像を生成するよう超解像はしていません。

むしろ、低画質の映像から、様々な犯人・犯行特定に繋がる情報をあぶり出すのが弊社の使命です。

また、解析するだけでなく、その結果を警察や弁護士、保険会社等の関係先、あるいは裁判等に提出するための書面資料にします。

特にこの映像の書面化の重要性については、あまり認識されていように思われます。しかし実際には、問題解決を進めていく上でこの書面化が極めて重要です。

簡単に言えば、当該映像内容を目的を持って詳しく解説した書類を作成するということです。映像を見ただけではわからないことを、解析によって浮き彫りにし、その事実を図や画像に注釈をつけて説明していきます。

弊社はこれまで100名以上の弁護士、警察、企業からのご依頼に多数携わって参りました。弊社が作り上げてきた実績とノウハウを最大限に活かして、問題解決に向けた解析調査をおこないます。

映像解析・鑑定、資料作成については、『東海DC株式会社』までお気軽にご相談ください。

重要なお知らせ:個人のお客様からの解析依頼について

平素より当社のサービスをご利用いただき、誠にありがとうございます。最近、ドライブレコーダーの上書きによるデータ消失の復元、車両ナンバープレートの解析、防犯カメラの解析に関する個人のお客様からのお問い合わせやご依頼が増加しております。このように多くの方々に当社サービスをお問い合わせいただけることに、心より感謝申し上げます。

しかしながら、サービスの円滑な運営を考慮し、今後は個人のお客様からの解析依頼につきましては、弁護士を通してのお問い合わせのみをお受けする方針とさせていただきます。直接のご依頼に関しては、対応ができかねますことをご了承ください。

弊社は動画解析に基づく証拠資料の作成が主なサービスであり、データ復元やナンバープレートの解読については副次的なサービスです。原則、それ単体でのご依頼は対応しておりませんので、ご留意くださいますようお願いいたします。

なお、これまで通り、行政機関、自治体、法人のお客様からのご依頼やお問い合わせにつきましては、受け付けております。これからも、サービス向上に努めてまいりますので、ご理解とご協力をお願い申し上げます。

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