【交通事故】ドラレコの音声はいつ録音される?歌や会話も聞かれる?

事故に遭った時、ドライブレコーダーのデータを警察や保険会社に提出することは一般的です。しかし、車内での会話や歌声も録音されているかと思うと、ためらってしまいますよね。

そこで今回は、ドラレコの音声録音機能の仕組みや、証拠としての価値を紹介します。この記事を読んで、ドラレコを証拠として提出するかどうか考えてみてください。

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阿部友保 (あべともやす)

2002 〜 2017 年、交通事故専門の調査会社で10,000件以上に関わる。調査マニュアルの作成や調査員の育成に加え、事故解析や証拠資料作成など、交通事故訴訟に関わる業務を担当。
2017年より独立開業し、2022年に株式会社東海DCを設立。交通事故鑑定・ドライブレコーダー・防犯カメラの動画・画像解析のプロフェッショナルとして活動中。

ドラレコ録音機能の仕組み

ドライブレコーダーと言えば映像を記録する機器というイメージが強いかと思いますが、音声も同時に記録する機能を備えています。まずは、ドラレコ録音機能の基本を確認しましょう。

ドラレコは常に録音している?

ドラレコの録音機能は手動でオン / オフを設定できる機種が多く、常に起動している訳ではありません。

しかし基本的に録音機能は映像と連動しており、常時録画をしている場合は音声も同時に録音されています。事故などが発生したときに自動でイベント録画に切り替わるのですが、その際に録音もスタートするようになっているのです。

どんな音・声が録音される?

事故が発生した際、その数十秒間の音声・映像はドラレコによって自動的に保存されます。

車内は密閉空間で、1人または親しい人といるケースが多いですから、気を抜いているもの。他人に聞かれるのは恥ずかしい内容が含まれているかもしれません。

  • 独り言での愚痴・不満
  • 大声で歌っていた
  • 同乗者との言い争い、ケンカ
  • 家族・恋人とのプライベートな会話

しかし会話以外にも、以下のような音が記録されている可能性も考えられます。

  • ウインカーの音
  • ハザードランプの点灯
  • クラクション
  • ブレーキ音
  • 衝突音
  • エンジン音
  • 車の通りかかる音(風切り音)

音声データを警察や保険会社に確認されるのは少しためらうかもしれませんが、事故解析に重要な手がかりとなりますので、ぜひ提出してください。

以下の記事ではドラレコを提出する際のポイントをまとめています。一度目を通しておくことをおすすめします。

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社用車・レンタカーでも録音されている?

社用車やレンタカーを運転している際に事故に巻き込まれた方もいるかもしれません。

どちらもドライブレコーダーが設置されているケースが多いですが、利用前に知らされているはずです。車内の音声や映像を勝手に録音・録画するとプライバシーの侵害にあたる可能性があるためです。

会社の車を使っている、または車を借りている場合、事業者やレンタル会社にドラレコの録音・映像データを提出したい旨を伝えましょう。

ドラレコの録音はプライバシーの侵害になる?

ドライブレコーダーによる録音・録画は、プライバシーの問題と関わるように見えますが、基本的には問題ないと考えられています。ここでは、主な理由を3つの観点から紹介します。

事故・トラブル対応などが目的

ドラレコは、事故やあおり運転などのトラブル時に状況を客観的に残すことを目的としています。

自分や他人の安全を守るため、また事実関係を明らかにするために行う録音・録画は、プライバシーの侵害にはあたりません。

また、業務で車を使用する場合、従業員の運転状況の把握や安全確保といった正当な目的があれば、録音・録画を行うことはリスクマネジメントとして認められています。

社用車の利用は原則として労働時間内であり、従業員は会社の指揮命令下にあります。そのため、会社がドラレコを用いて業務の安全や就業状況を適切に管理することは適法と言えます。

録音が周知されている

ドラレコは車内に設置されており、カメラやマイクの存在を目で確認できるため、録音や録画が行われていることを認識しやすい環境にあります。

また、車に「ドライブレコーダー録画中」などのステッカーを貼るケースも多く、録音・録画の事実が周知されている状況では、プライバシーの期待(=他人に見られたくないという権利)は低くなると考えられています。

従業員が乗車する社用車などの場合も、あらかじめ録音・録画の目的と範囲を伝えておくことで、プライバシー侵害の問題はほとんど生じません。

データを外部に漏らさない

個人情報とは、氏名・住所・顔写真など特定の個人を識別できる情報を指します。

車内での会話は内容によっては個人情報に該当しうるため、録音・録画データを無断で第三者に提供したり、SNSなどに公開したりするとプライバシー侵害や肖像権侵害となるおそれがあります。

一方で、ドラレコの映像・音声を自分や関係者の安全確保、事故対応、警察や保険会社への提出など正当な目的の範囲内でのみ利用する場合は、一般に法的問題は生じにくいとされています。

運用上は、データの保存場所や閲覧権限を限定し、「不要になったら速やかに削除する」「第三者に提供する際は匿名化や本人同意を取る」などを講じることが重要です。

ドラレコの音声は証拠になる?

ドライブレコーダーによって録音された音声は、事故の真相を解明する上で重要な役割を果たします。運転者や同乗者の会話だけでなく、外の音も正確に記録されるためです。

ここからは「ドラレコの音声データは証拠として有力か」について説明します。

音声データも裁判に提出できる

ドライブレコーダーの映像が裁判で強力な証拠とされることはよく知られていますが、音声データも同様に重要です。

裁判では、運転者の供述や目撃者の証言よりも、ドラレコに記録された音声のような客観的な証拠が重視されます。音声データは事故の瞬間の会話や周囲の音を捉えており、事故の原因や当事者の状態を明らかにするのに役立つからです。

つまり、ドラレコの音声データは、裁判において運転者の言葉や他の証言よりも信頼される可能性が高いのです。

特に、自分にまったく過失がない場合はドラレコを使わない手はありません。以下の記事もあわせてご覧ください。

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音声と映像を合わせて状況を把握

ドラレコの音声は映像と同時に分析することで、事故の状況をより鮮明に把握しやすくなります。

例えば、ウインカーやクラクションが鳴ったタイミングなどから、事故がどのように起こったのか、音声と映像のデータを照らし合わせて、より真相に近づくことができます。

以下の記事ではドラレコの映像を保存する手順を解説していますので、あわせてご覧ください。

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ノイズがあっても専門業者なら解析可能

最新のドラレコは高性能のマイクを使っており、ノイズを抑えて車内外の音をクリアに録音します。

しかし、エアコンの音やラジオの音などが混じってしまい、重要な音声が聞き取りにくい場合もあります。このような時に役立つのが、ドラレコの音声や映像を解析する業者です。

専門知識を持つプロなら、特別なソフトウェアを用いてデータを解析し、必要な音だけを選り分けることも可能です。事故の具体的な状況を明らかにし、証拠としての価値を高められるのです。

解析費用について心配するかもしれませんが、多くの自動車保険では弁護士費用特約が付帯されています。特約を利用すれば、ほとんどの場合、自己負担なしで専門家へ依頼できます。

もし音声が聞き取りにくい場合は、弁護士を通じて専門業者に相談することをおすすめします。

以下の記事では、ドラレコ解析の専門家を利用するメリットを詳しく説明しています。「頼むのは、なんだか面倒くさそうだな…」と思った方も、一度読んでみてはいかがでしょうか。

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まとめ

今回は、ドライブレコーダーの音声録音機能の仕組みや、証拠としての価値を解説しました。

「録音された音声を聞かれるのが恥ずかしい…」と感じるかもしれませんが、事故の原因を明らかにし、適切な補償を受けるためにぜひ提出してください。

ドライブレコーダーの音声があまり鮮明でない場合も、専門的な技術を持つプロに依頼すると解析してくれます。

東海DCはドラレコの音声・映像ともに解析が可能です。示談交渉や裁判で有利に進めたいなら、弁護士を通じて弊社にご相談ください。まずは、ドライブレコーダー解析サービスページにて、詳細を確認してみてはいかがでしょうか。

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