せっかく、現場で当事者様と面談する機会を得たなら、実際にどの程度の速度で、どのような動きをしたのか、再現してもらえると良いかもしれません。

もっとも、交通量の多い場所ではやや不向きで、出合い頭の事故や進路変更時の事故のような事故形態での再現はあまり経験がありません。

どちらかというと、「駐車場内の事故」や「左折巻き込み事故」、あとは法25条の2で規制されている「路外出入り」や「後退・転回時の事故」等で効果的なのではないかとの印象です。

つまり、速度がそれほど出ていない状態で、主にハンドル操作が関係している事故と言えるでしょうか?

動作が複雑な場合、口頭だけで説明するのは難しいですし、説明している当事者本人も、自車の動きを俯瞰して見ていたわけではありませんから、正確に説明するのが困難な場合があります。

本人に思い出してもらいながら、実際に運転して当時の動きを再現していただきます。それをカメラで動画撮影し、本人に確認していただきます。

但し、再現といっても本人は意識して運転してしまうので、実際の状況と同じというわけではありませんし、証拠になるわけではありません。しかし、運転には個々の癖がありますから、特に駐車場の複雑な動きなどでは参考になります。

本人が自分で思っていたような動きは実際には難しいということに、自ら気づく方もおられますし、こちら側が口頭で聞いていても今ひとつしっくりこなかったことが、「あぁそうゆうことか」と気づかされることもあります。

もし、ご本人がいない場合には、実際に聞いていた動きを自分で運転して再現することもします。特に「左折巻き込み事故」では、客観的視点を持つためにとても重要です(同一車両での再現は難しいのであくまで参考にとどまりますが)。

このような簡易的な「再現」ができるのも、現場調査の利点の一つと言えます。